お菓子の材料に使われる油脂について後半

お菓子の基礎知識




前半に紹介したものが主にお菓子に使われる油脂類です。後半ではあまり使われないけどこんなものもあるんだよというものとバターのお菓子作りの役割を紹介したいです。

では、そのほかの油脂類についてです。

ショートニング

ラードの代用品としてアメリカで生まれた、植物油を原料としたクリーム状の油脂です。マーガリンから水分と添加物を除いて純度の高いものにした感じです。

ほぼ100%油脂成分なので香りはほとんどなく、味もありません。

ショートニングという名前は「サクサクさせる」「もろさを与える」という意味の英語(shorten)からきています。

ちなみにショートニングはアイスクリームやフライを揚げる油にも使われています。ファストフード店のドーナッツやチキンはショートニングで揚げているものが多いです。

ラード

豚からとれる脂肪全般つまり豚脂のことです。お菓子よりも料理によく使われます。

ラードには2種類あって100%豚脂のものは「純製ラード」牛脂やパーム油などを合わせたものは「調製ラード」と言われています。

お菓子作りに使われることはほとんどないのですが、ちんすこうやサーターアンダギーなどの沖縄のお菓子にはこちらが使われています。

ちんすこうの独特のホロっとした食感やコクはラードを使っているから生まれるのです。

沖縄以外でもイタリアの南部のお菓子に使われます。

有名どころだとナポリのスフォリアテッラやシチリア島のカンノーロです、ちなみに私はカンノーロが大好きです。

前半、後半に分かれてしまったのですが油脂類はお菓子で使われるものだけでも種類がたくさんあります。

お菓子作りにこんなものも使えます

バターの代わりにオリーブオイルやココナッツオイルも使えます。

どちらもバターとは違う独特の風味を持っているので色々と組み合わせて個性的なケーキが作れそうですね。

これらの油なら牛乳アレルギーの人のためのケーキも作れそうです。

ただしバターと置き換える場合は溶かしバターを使うレシピで置き換えてください。パウンドケーキのレシピも溶かしバターで作るやり方を選んでくださいね、じゃないと膨らまなかったりするので。

バターのお菓子作りでの役割

バターがお菓子に与える役割は3つあります。それぞれ「可塑性」「ショートニング性」「クリーミング性」と呼ばれています。

この3つの役割が重要となってきます。

可塑性

バターは冷蔵庫から出したばかりのときは硬くて指で押しても形が変わりません。しかし、常温に戻してしばらくすると粘土のように指で押してもへこんだり、手で自由に形を作ることができます。この性質を「可塑性」といいます。

13~18度の限られた時間帯でこの性質を生かすことができます。

折込パイ生地は、小麦粉の生地(デトランプ)でバターを包み伸ばしては折り畳みながら何百にもおよぶ層を作り上げます。

デトランプとバターが同じ伸び方をしないと途中で層がちぎれてしまいます。同じように伸ばすために可塑性を生かします。

ショートニング性

バターをたくさん使ったクッキーはサクサクとした軽い口当たりになりますよね、これにはバターのショートニング性が関係しています。

バターなどの固体油脂には、小麦粉のグルテンが作られるのを阻止して生地をもろくする性質があります。このような効果を「ショートニング性」といいます。

バターの配合が少ないクッキーはバリンと割れるような硬い食感になり、バターの配合量が多いとサクサクで軽い口当たりになります。

この性質を生かすには油脂が薄い層状になって生地の中に広がらないといけません。

温度が低すぎると硬い粒状になって生地の中にうまく広がらないし、温度が高すぎると溶けて生地にしみこんで層状にならなくなってしまいます。

なのでバターの硬さは手で押しつぶせるくらいからクリーム状のものを調整して使います。

クリーミング性

一般的にバターケーキをきめ細かくふっくらと仕上げるには最初にバターを泡だて器で十分に擦り混ぜて、全体が白っぽくなるまで空気を混ぜ込んでおくのが良いといわれています。

なぜかというと、オーブンの中で生地が膨らむとき生地の中で発生した水蒸気や膨張剤から発生した炭酸ガスが、バターの中に混ぜ込まれている気泡の一つ一つを核として大きく膨らむからです。

なのできめ細かくふっくらと仕上げるにはバターの中の気泡を出来るだけ多量にしかも出来るだけ細かくすることが大切です。

バターを撹拌したときに大量の空気を混ぜ込むことができる性質を「クリーミング性」といいます。

まとめ

お菓子作りにとってバターは味だけでなく食感や生地の膨らみにも影響を及ぼしています。

なので、カロリーを減らしたいからという理由でレシピを調べずにそのまんまバターのところを他の油脂に変えてしまうと失敗してしまうので注意してください。

バターの特性をしっかりと理解した上で他の油脂と変えてみたりアレンジを加えてみたりしたいですね。

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