ゼラチンを入れたのに固まらない  凝固剤について2

お菓子の雑学




ゼリーやムースを作るときに最もよく起こる失敗が「固まらない」というものです。凝固剤をしっかり入れたはずなのに固まらないのにはちゃんと訳があります。

前に凝固剤についての記事を書いたのですがそこに固まらない理由や対処法を紹介していなかったので今回はその部分のみを紹介します。

凝固剤とは

凝固剤はフランス菓子では主にゼラチンを用いています。他にも寒天や、カラギーナン、ペクチン、アガーなど色々な種類があり作るお菓子やくちどけによって使い分けます。詳しくはこちらの記事をどうぞ→凝固剤について

凝固剤は少量しか使用しないので、入れる分量を間違えてしまうと固まらなかったり硬くなりすぎてしまうなどの失敗をしてしまいます。

では凝固剤を入れたのに固まらない理由を説明していきます。

良く溶けていない、混ざっていない

ゼラチンでも寒天でも凝固剤はまず溶かして混ぜて使うものです。溶け切らずに塊が残っていたり一部分しか混ざっていなかったりしていると当然固まりません。

使うときには必ず温めて完全に溶けているのか確認してから材料を合わせましょう。

ゼラチンには相性の悪いフルーツがある

ゼラチンは動物の皮や骨の中に含まれているタンパク質を熱水で抽出したものです。なので、ゼラチンを溶かした液体に、タンパク質を分解するような物質を添加するとゼラチンの分子のあちこちが切断されて凝固する能力を失ってしまいます。

このような物質はお菓子作りで使われる材料の中だと果物に入っていることが多いです。例えはパイナップルの中には「ブロメリン」というタンパク質分解酵素が含まれています。なのでゼリーやムースに生のパイナップルを使うとゼラチンが分解されて、いくら冷やしても固まらなくなってしまいます。

他にもキウイフルーツやパパイヤ、イチジクなどがあります。

ではこれらの果物を使ってゼリーやムースを作りたいときはどうすれはいいのでしょうか?

解決策としては果物や果汁を加熱して使うことです。加熱することで分解酵素の働きを失活させてその後にゼラチンと混ぜ合わせるとしっかり固まります。すでに加熱処理が済んでいる缶詰やシロップ、ピューレを使用するのもありですね。

他の方法だと果肉の場合は予め他の凝固剤で表面を覆って中に混ぜ込むということも出来ます。少々手間がかかりますがどうしても生の果肉を混ぜ込みたい場合には有効です。

木製の表面にキウイフルーツの枝編み細工品バスケットのパイナップル | 無料の写真

ゼラチンや寒天は酸に弱い

お菓子の材料に使われるものは酸に弱いものが多いです。例えば生クリームや卵白などがあります。ゼラチンや寒天も酸に弱く酸味の強い果物や酸性の添加物を入れてしまうと固まらなくなってしまいます。

レモンやイチゴなど酸味の強いフルーツを使うときは分量に注意してください。

対処法としては酸に強いカラギーナンやペクチンを使うと固まります。

どうしてもゼラチンや寒天で作りたい場合は、凝固剤を煮溶かしたものの粗熱を取ってから手早く果汁などを混ぜ込むようにしなければなりません。

NASCE L'OSSERVATORIO EUROPEO SU MERCATO DEGLI AGRUMI | Corriere  ortofrutticolo

高温で加熱してしまった

凝固剤は加熱して溶かしてから混ぜ込むのですがゼラチンのコラーゲンは加熱によって不安定になるという性質を持っています。

なので、いくら熱して溶かさないといけないからといって熱しすぎも良くないのです。

粉ゼラチンだとふやかしてから温めるときの温度は50~60度、ゼラチンを加えるベースの液体は60~70度にしてそれ以上温度が高くならないように気を付けましょう。

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砂糖の量を減らした

レシピよりも砂糖の分量を減らしてしまうと、離水したり固まり方がゆるくなってしまいます。

何故かというと、凝固剤は固まるときに網目構造を作り、その網目の中に水を抱え込みます。砂糖は水に溶けて分散して網目構造の中で水を吸着して保持し、網目から水が外に出るのを食い止める役割があります。

砂糖の分量が減ってしまうと網目構造から水が外に出てしまうのです。水が外に出ることにより緩くなったり離水したりします。

逆に砂糖の分量を増やすとかたくなり、離水しにくくなります。

アルコールの度数が高い

アルコールを入れる際に度数が高すぎるとこれも固まらない原因になってしまうので注意してください。

対処法

凝固剤を入れたのに固まらない理由を説明してきましたが、もうすでに手遅れになってしまった場合はどのように対処すればいいのでしょうか?

捨てて一から作り直すのがベストではあるのですが、材料費が勿体なかったりもう一度作る手間を考えると面倒くさいですよね。

対処法としては追加で凝固剤を足すという方法がよく使われます。ただゼラチンなどはゼラチンの匂いがきつくなってしまうので、ほかの材料も少量ずつ加えていきます。

まとめ

凝固剤は繊細なものが多く熱や酸に弱いので使う前にどのような特徴があるか、どういう失敗が多いのか予め把握していると失敗しないと思います。

仮に失敗してしまっても対処法があるのでそんなに神経質にならなくても大丈夫です。

お菓子作りにおいては先ずはレシピ通りに作るということが大切なのでそこを意識していきましょう。

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