テンパリングとは

お菓子の基礎知識




チョコレートを扱う際に時々テンパリングという作業が必要になる場合があります。家庭で作られるお菓子にはあまり行いませんが、例えばチョコレートボンボンやチョコレートを砂糖漬けの果物に付けたものなど色艶が大切になってくるものに対しては必須の工程です。

家庭でやるのは少し難しく慣れるまで大変なのですがテンパリングが必要ではないチョコレートも市販品であるのでそちらを使うと便利ですよ。

テンパリングについて

テンパリングは簡単に説明するとチョコレートの中に含まれるカカオ脂の結晶を安定させて口どけと色艶を良くする温度調整のことです。

カカオ脂の結晶型は分子の粗いものから、γ型、α型、β´型、β型があります。溶かしたチョコレートをそのまま放置しておくと、カカオ脂は最初に分子の詰まりが粗いγ型の結晶を作ります。しかしこのγ型の結晶は不安定なので出来て2~3秒ほどで次のα型に変化します。さらに分子が詰まって約1時間ほどでβ´型に変わります。最終的には分子が最も安定したβ型になります。

しかし、自然放置した場合だとβ型に変わるのに1か月以上かかってしまいます。しかもその間に結晶の塊がだんだん大きく成長してしまい舌でザラつきが感じられるほどの粗大な結晶になってしまいます。

このように自然放置した状態で固めたチョコレートは艶がなく口どけが悪く保存中にブルーム現象と呼ばれる独特の劣化現象が出てしまいます。

そこで品質の高いチョコレートを作るために自然に結晶がβ型になるのを待つのではなく温度調節によって結晶型を変えていきます。これがテンパリングです。

カカオ脂を大量に含む良質のチョコレートほどこの工程が欠かせないものになっていきます。

テンパリングの手順

テンパリングの基本的な手順はまずチョコレートの温度を50度前後まで上げて全ての結晶を溶かします。溶かすとき全て溶けないからといって温度を上げすぎてはダメです。必ず決められた温度にしないと結晶が安定しなくなります。

次に空気を入れないように混ぜながら27度まで温度を下げます。そしてまた32度まで温度を上げます。作業する際は32度を保ったままチョコレートを使います。

チョコレートの種類によって変わる温度

上で紹介した方法は主にスイートチョコレートのテンパリングの方法ですがチョコレートの種類によってテンパリングの温度が変わります。

何故かというとミルクチョコなどは中の粉乳がカカオ脂の凝固を防ぐためスイートチョコレートよりも融点が低くなるからです。

スイートチョコレート

溶解温度 50~55 下降温度 27~29

調整温度 31~32

ミルクチョコレート

溶解温度 45~50 下降温度 26~28

調整温度 29~30

ホワイトチョコレート

溶解温度 40~45 下降温度 26~27

調整温度 29

ルビーチョコレート

溶解温度 40~45 下降温度 27

調整温度 29

ブロンドチョコレート

溶解温度 48~50 下降温度 26~27

調整温度 28~29

こんな感じになっています。これに合わせてテンパリングしていってくださいね。

テンパリングの種類

テンパリングには3通りのやり方があります。それぞれの特徴に合わせてやり方を変えています。手順はスイートチョコレートの温度で紹介します。

水冷法

こちらは基本的なテンパリングの方法です。少量のチョコレートでも作りやすく、家庭でも出来ます。

やり方はチョコレートを湯煎にかけて溶かして、50度にします。その後ボウルに水を当てて混ぜながら28度に下げます。

再び湯煎にかけて31~32度まで温めなおして保温しながら使います。

タブリール法

溶かしたチョコレートを大理石の台に直接広げて温度を下げる方法です。水冷法では大量にテンパリングが出来ないのですがこちらの方法だと大量に出来ます。ただし難しいのであまりおすすめは出来ません。

テレビなんかではテンパリングはこのタブリール法がよく紹介されます。

やり方はチョコレートを湯煎にかけて溶かして50度にします。その3分の2~4分の3を大理石に流して広げてスケッパーで寄せ集めてまた広げてという作業を繰り返します。

28度まで下げたらボウルに残っているチョコレートと合わせて31~32度にします。

フレーク法

溶かしたチョコレートに刻んだチョコレートを加えて温度を下げる方法です。

3種類の方法のうち最も手間がかからないのですが、刻んだチョコレートを全て加えたときに理想の温度に下がっている状態にしなくてはならないので、慣れるまでチョコレートの分量配分が難しいです。

やり方は分量のチョコレートの一部を湯煎にかけて50度に溶かします。その後溶けやすいように刻んだチョコレートを加えて31~32度に下げます。

刻んだチョコレートは粗いものから加えていき冷めていくにつれて細かいものを加えていくと残らずきれいに溶けてくれます。

まとめ

チョコレートのテンパリングは家でやるのは難しいと思うのですがチョコレートのお菓子を作るときに必要になる場合もあるので極めたい方はぜひ挑戦してみてください。

オススメは水冷法ですね。少量で出来るしやり直しもききます。

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