砂糖について、前半

お菓子の基礎知識




お菓子と言ったら甘いですよね。砂糖から甘みが作られますが甘いのが苦手だったり、砂糖が気になる人もいるのではないでしょうか。

お菓子作りにとって砂糖は甘みを生むだけのものではなく他にも役割を担っています。例えば卵の泡立ちを安定させたり綺麗な焼き色を付けたりです。

またお菓子作りで使われる砂糖は主にグラニュー糖ですがそれ以外のものも紹介します。

長くなるので前半、後半に分けます前半は砂糖の役割を紹介します。

砂糖の役割

砂糖の役割としては

脱水性

吸湿性

保水性

タンパク質の熱変性を抑える

タンパク質の空気変性を抑える

再結晶

着色性

が上げられます。それぞれ説明していきます。

脱水性

脱水性はジャムを作るときやフルーツシロップを作るときに果物に砂糖をかけてしばらく置くと、水分がでてきます。このように水分を奪うことによって微生物の繁殖を抑える防腐作用があります。

食品が腐るのは微生物が繁殖するからですが、微生物の繁殖には水分を必要とします。なので繁殖を抑えるには食品から微生物が繁殖に使う水分を減らすことが大切です。

砂糖は果物をいくらか脱水して果物の中にしみ込んで水分を吸着することによって腐らないようにできるのです。

吸湿性

吸湿性は卵を泡立てるときに砂糖を加えて泡立てると、卵の中の水分を吸着し、気泡を壊れにくくします。

ペクチンなどの粉末を果汁やジャムに加えて溶かすときに、そのまま加えるとダマになってしまうのですが、砂糖と混ぜ合わせてから加えると、分散しやすくなり、ダマにならずに溶けてくれます。

これらの粉末の粒子の間に砂糖が入り込んで水を吸着し、粒子同士がくっつくのをふせいでいます。

またジャムで脱水した後は、砂糖が果物から出た水分に溶けて糖度が高いシロップ状態になっています。これを煮込んでいく内に、シロップの水分が蒸発してさらに糖度が上がります。

これと同時にシロップの砂糖が果物の内部に時間をかけて拡散して、果物の内部の糖度も上昇してきます。

糖度が上昇することによって保存性をよくします。

保水性

保水性は例えばゼリーなどは砂糖の量が多いほどゼリー液の網目構造の間に水を保持するので、ゼリーに弾力やかたさが出ます。

また、ゼリーを長時間置いておくと水が染み出てくる「離水」の現象が起こる場合がありますが、ゼリーに砂糖が多く含まれているほど、砂糖が水分を保持して離水しにくくなります。

ジャムにどろっととろみがつくのは、多量の砂糖が水分を保持することによって、ペクチン分子が結合するためです。

スポンジ生地をオーブンで焼くと、水分が蒸発しながら焼きあがりますが、砂糖が多く含まれているほど生地の中に水分を保持し、しっとり焼きあがります。

それと、スポンジ生地は砂糖が多いほどデンプンの分子の間に水を保持できるので、デンプンの老化が起こりにくくなり日持ちします。

タンパク質の熱変性を抑える

プリンが固まるのは、加熱して卵のタンパク質が熱によって変性を起こして固まるからです。

砂糖はタンパク質の熱変性を抑えるので、砂糖を増やすほど卵液の凝固温度が高くなり、やわらかく固まります。

タンパク質の空気変性を抑える

卵を泡立てると、卵白のタンパク質が空気によって変性を起こして、気泡の膜がかたくなり、安定した気泡が出来ます。砂糖はその空気変性を抑える役割を果たします。

卵に砂糖を入れると泡立ちにくくなるので、砂糖を数回に分けて入れるのは、このためです。

また、卵白を泡立てる際に、砂糖の配合量が少ないと、タンパク質の空気変性が過剰に起こって離水しやすくなります。

卵白の泡立てについてはこちらでも説明しています。メレンゲについて 上手に泡立てる方法

卵に含まれるタンパク質は、水に分散した形で存在し、加熱や泡立てによる空気との接触によって寄り集まり、となり合うタンパク質の間にある水を排除してくっついて変性し固まります。

砂糖を加えると、この水を吸着して保持するので、水が排除されにくくなり、変性が抑えられるのです。

再結晶

再結晶は砂糖自体が結晶した製品ですが、これを再度水に溶かして煮詰めたシロップを過飽和状態にして、再び違う形で結晶化させることです。

この再結晶を利用してウイスキーボンボンやフォンダン、ナッツのキャラメリゼを作っていきます。

着色性

着色性は砂糖の加熱によって色づく性質です。「メイラード反応」と「カラメル化反応」の二通りあります。

メイラード反応はスポンジや焼き菓子などで砂糖が卵や小麦粉などの他の材料と一緒に加熱され茶色の焼き色が付く反応です。

カラメル化反応はカラメルソースなどを作るときに水と砂糖だけで加熱して茶色に変化させることです。

まとめ

砂糖の役割はかなり多いです、ただ甘みを付けるだけではありません。

お菓子にとって砂糖って本当に大切なものでして、砂糖菓子というくくりもあるくらいです。

ちなみに、砂糖菓子の職人のことを「コンフィズール」と言います。

後半では砂糖の種類なんかを紹介します。

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